ギャンブル依存症 賭けて失うのはお金だけではない

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日本は不思議な国です。賭博行為を法律で禁止しているのに、競輪、競馬、競艇、オートレースは認められ、パチンコとスロットの店も営業許可を得ています。

そのせいでしょうか。日本のギャンブル依存症の数は536万人、男性の8.7%、女性の1.8%もいるのです。海外ではカジノのあるアメリカで1.58%、韓国で0.8%ですから、日本はかなり高いといえるでしょう。

高くなった原因は、パチンコ、スロットの遊技店が日本全国にあることだと思われます。さらに競馬や競輪などのテレビCMが、連日放映されていて、身近なものと感じられるようになっているからでしょう。

いつでも、どこでも、誰でもギャンブル依存症になれる、日本は恐ろしい国なのです。

賭けて失うものはお金だけではない

ある営業職の男性が、取引先から集金してきた帰り、目に付いたのは競馬が開催中というポスターでした。普通に競馬が好きなだけなら、日曜にでも行ってみようかなと考えます。またはテレビで中継を見ながら、ネットで馬券を買うのもいいなと思ったりするでしょう。

けれどこの男性は、ギャンブル依存症でした。依存症の人は、競馬の文字を見ただけで、すべての思考が停止してしまうのです。会社に戻って集金してきたお金を渡し、昼休みの後、いつもの営業先を数軒回る。今日の予定はそう決まっているのに、いつの間にか競馬場に向かう電車に乗り込んでいました。

ギャンブル依存症の男性の脳内では、持っているお金が何倍にもなっていく夢が膨らんでいます。負けてすべてを失うということは、あまり考えません。今、手にしているお金が会社のものだということも、わかってはいるのですが、儲けて返せるからいいと勝手に思い込んでしまいます。

競馬場に到着すると、なんともいえない高揚感に包まれます。今日は最高の日に思えて、たまらなく幸福な気持ちになっていました。そして馬券売り場に向かいます。なんのためらいもなく、集金してきた会社のお金で買っていました。

賭けるのに使った額以上に勝てるという、ドラマのような奇跡はそう簡単には起こりません。いくらか儲けたレースもあったのでしょうが、そこで止めるということができないのがギャンブル依存症です。気がつけば会社の金は1円も残っていませんでした。

男性が失ったのは、お金だけではありません。人間としての信用も、仕事も失いました。ギャンブル依存症だと気付いた家族も、去っていくでしょう。ここで気がついて、ギャンブルから遠ざかれば、ギャンブル依存症も治すことはできます。遅すぎるとは思わずに、自ら努力するしかありません。

賭け事を喜ぶ脳内物質

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大昔から、人は賭け事をやっていました。賭けるのはお金とは限りません。畑の収穫物や田地田畑まで賭けることがあったのです。それがなくなったら、明日から暮らしていけなくなるのに、賭けてしまう人は昔からいたのです。

失う可能性もあるのに、なぜ人は賭け事をするのでしょう。それは人が持っている、ドーパミンという物質のせいでもあるのです。

ドーパミンは、神経伝達物質の1つです。嬉しい、楽しいなどの感情を引き起こす、誰もが持っているものなのです。このドーパミンは、初めて買った馬券が当たったときは、普通の喜びとして脳内に伝えます。ところが何度もギャンブルを繰り返していくと、ギャンブル場に行ったり予想をするだけで、ドーパミンが大量に出てくるギャンブル脳になるのです。

ギャンブル脳になると、他のことに対する興味が失われてしまいます。これまであった趣味もやめ、一日中ギャンブルのことばかり考えているようになるのです。アルコール依存症のように、酒を飲む必要はありません。薬物中毒のように、危ない薬に手を出さなくてもいいのです。ただギャンブル場に行くだけで、幸せになってしまえるのですから。

ギャンブル依存症は、アルコール依存症同様治らない病だと言われていました。現在はギャンブル依存症もアルコール依存症も、精神疾患の1つであり治る病と言われています。けれど薬を飲んだり、注射を打てば治るというものではありません。本人の止めたいという強い気持ち、それだけがギャンブル依存症を遠ざけることができるのです。

なにが原因でギャンブル依存症になるのか

素行の悪い人間が、ギャンブル依存症になるのだと思われているなら大間違いです。それまでは普通に暮らしてきた人が、なにかのきっかけでギャンブルを始め、どんどん深みにはまっていくことが多いのです。

仕事をきちんとこなす会社員、評判のいい教師、料理上手な主婦、どこにでもいるまじめそうな人々が、依存症になるまでギャンブルを止められなくなるのは、なにが原因なのでしょうか。

原因の1つ 自由になるお金

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もしギャンブルをするのに、最低100万円が必要だと言われたら、ほとんどの人はギャンブルになど手をださないでしょう。困ったことに日本のギャンブルは、少額ではじめられます。馬券は1枚100円、パチンコも店によっては、200円で遊べてしまいます。

ゲームセンターで遊ぶ感覚で、1000円ぐらい使ったとします。それがたまたまビギナーズラックとなって、大きく当たってしまったとしたらどうでしょう。ギャンブル場に行けば、また当たるかもしれない。当たるときのあの興奮を、また何度も味わいたい、そう思って再び訪れるようになるのです。

思ったように当たらない、1000円が2000円に、それがあっという間に10000円、10万円と使っていくようになります。勝つかもしれないという期待感と、失った分を取り返そうとする焦りから、使えるお金があるだけやってしまい、気がつけば今日の食費までなくなってしまうことになってしまいます。

原因の1つ 家族による借金の返済

ギャンブル依存症になった人は、自由に使えるお金がなくなると、 今度は借金をするようになります。お金は借りたけれど、当たったら返せばいいだけだと考えますが、またもや負け続け、借金はどんどん大きくなってしまうのです。

借金が膨らみ、そこで初めて家族が、ギャンブル依存症であることに気がつきます。なにしろギャンブル依存症になる前は、まじめで優しい人間でした。よく言い聞かせれば反省する。借金がなくなりさえすれば、元に戻ってくれる。そう信じて、借金を払ってしまいます。

借金がなくなっても、本人が反省しない限りギャンブル依存症は治りません。せっかくの家族の好意に、感謝の意味で頭を下げますか、脳内ではこれでまたどこかでお金を借りられると喜んでいるだけなのです。

家や車など、なにもかも失うことになるとしても、家族は借金の返済などして、助けてあげてはいけません。本当に助けたいと思ったら、返済に回すお金で、ギャンブル依存症の治療をしてくれる、精神科医の元に行かせてください。

原因の1つ ギャンブル依存症になる前のストレスを探る

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絵を完成させたり、綺麗な花を咲かせるにはかなりの日数が必要です。やり遂げたという満足感を得るのに、何ヶ月も努力しなければいけません。けれどギャンブルは、その場に行けばいいだけなので、もっとも簡単に多幸感を得られます。

なぜ当たるか外れるかのスリルを、そんなに楽しみたいのでしょう。今すぐ幸せを感じたいというのなら、そんな気持ちになった原因を探るべきです。

職場でいやなことがあった。自分はもっと評価されていい人間なのに、誰も認めてくれない。夫からの愛情が感じられない。誰もが感じるストレスです。朝からしっかり太陽の光を浴び、栄養価の高い食事をして、ほどよく運動などすれば、すぐに消えてしまいそうなストレスですね。

ストレスの原因と向き合うことなく、その場だけの気分転換にギャンブルを選んでしまったのが、すべての不幸の始まりでしょう。ギャンブルにのめり込んでいる間は、ストレスのことなど忘れていられます。ドーパミンが大量放出され、どんな薬物よりも確実にあなたを幸福にしてくれるのですから。

けれどギャンブルに負けて家に帰ると、激しい疲労感とともに鬱々とした気分になります。それはドーパミンの大量放出の反動なのです。忘れていたストレスが、以前より重く心にのしかかり、ギャンブル依存症の人は鬱病になったり、アルコール依存症を併発するようになってしまいます。

自分はギャンブル依存症だと認めるのが解決の一歩

ギャンブル依存症は、アルコール依存症同様『否認の病』です。自分ではそんな依存症になっているとは、絶対に認めないのです。家族に追求されると、すぐに止められるとか、そんなに何回も行っていないと嘘を吐き、自分はだいじょうぶだと思わせようとします。では治すにはどうすればいいのでしょう。

自分が依存症なのだと自覚することによって、初めて治療が開始されます。まずは家族や友人が、ギャンブル依存症とはどういうものか説明し、自覚を促してください。そして少しでも話しを聞ける状態になったら、次は治療に向かいます。

住まいの近くの病院を探すことから始めましょう。自助グループがあったり、積極的にギャンブル依存症に取り組んでいるような病院が理想です。

お近くにそのような病院がない場合、入院治療を行っている病院をおすすめします。肉体的に健康だと、入院費用が無駄のように思えてしまうかもしれませんが、この先ずっとギャンブルによって失われる金額を考えてみてください。入院治療で治せるなら、むしろ安いくらいです。

同じように依存症に苦しむ人を見て、自分の人生を取り戻そうと考えるようになればいいのです。退院後もギャンブル場には近づかず、日常を取り戻せるようになるでしょう。

最後に

決定的な治療薬などないギャンブル依存症、治せるのは自分だけです。言葉にするのは簡単ですが、誘惑に逆らうとなると、かなりの精神力が必要となるでしょう。

これまでに失った多くのもののことを思うと、気持ちは激しく落ち込むかもしれません。簡単に手に入る幸福感という誘惑に、負けない強さをぜひ持ってください。

遅くはありません、失ったものを取り返していきましょう。

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